見落としがちな「再新患数」が安定した院経営の要!?
頼れる接骨院の指標「再新患数」を増やすためのポイントまとめ
接骨院において患者数を増加させたいとき、新患や紹介のほかに「再新患」の増加も大切です。ここでいう再新患の患者さまとは「前回の来院から1ヶ月以上空けて来院する患者さま」のことを指します。
すべての患者さまが1週間~2週間に1回のペースで定期的に通い続けてくれるわけではありません。いつの間にか来なくなってしまったという患者さまもいれば、症状がなくなって卒業してからは来ていないという患者さまもいることでしょう。
理想は「いつの間にか来なくなる患者さまがいない」うえで「一度、身体の悩みがなくなった患者さまでも定期的にメンテナンスをしに来ている」ので再新患率が高いという状態です。新患が増え続けているとしても、定期メンテナンスや突然のケガをしたときなどに来院してくれる患者さまが少なければ、地域の方に信頼され、愛されている接骨院とは言えません。
例えば、新型コロナウイルスによる緊急事態宣中の院運営について、「新患は減りましたが、普段メンテナンスなどで来院される患者さまは、逆に家にいることによる不調が出てきた、と来院されることがありました」とお話してくださる先生方が多くいらっしゃいました。このように、再新患数は「何かあったときに頼れる接骨院であるか」の指標であるともいえるでしょう。
カウンセリングの重要性
新患の場合、何かしら身体の痛みがあったりや姿勢に悩んでいたりして来院されることが多いです。軽いものであれば、最初の施術だけで痛みが取れたり、見た目が良くなったりすることもあります。風邪で病院に行くと薬を処方されて「薬がなくなって、まだ治っていなければ来てくださいね」と案内されることがありますが、接骨院もそれと同じ感覚で「もう痛くないから、行かなくていいだろう」と、患者さまが自分で次回の来院を判断してしまうことがあります。
しかし、風邪などと違って、骨や筋肉の場合は施術で一旦良くなったように思えても、筋力自体に問題があったり、普段の生活習慣が悪かったりすると、すぐに元の身体に戻ってしまいます。
良くなったからと2度目の来院をしなかった患者さまが、また身体に異常を感じたタイミングで来院してくれるかというと、決してそうではありません。他院を探すことも多いでしょう。
私たちにとっては継続来院が前提ですが、その必要性を知らない患者さまはたくさんいるので、特に初回のカウンセリングでは、患者さまに自身の身体の状態を細かく説明し、どれくらいの頻度でどれくらいの期間来院すれば良いか、施術後の身体にどんな変化が起こるのかなどを説明しましょう。また、数か月通って身体の状態が落ち着いた後でも、日常生活の過ごし方が身体への大きな影響を与えることをお伝えして、月に1度はメンテナンスとして来院していただくことを提案し、継続的な関係をキープしておきましょう。
こまめなコミュニケーション
カウンセリングで継続の必要性を理解してもらうことが大切とお伝えしましたが、いくら継続が大切と伝えても、患者さまとの信頼関係が築けていなければ、再新患として院に来院してもらえません。信頼関係を築くためには、顧客管理を徹底し、円滑なコミュニケーションを心掛けましょう。
患者さまに好印象を持ってもらうためには「どれだけ患者さまのことを真剣に考えてくれるか」を伝えなくてはいけません。初回来院時からの身体の変化をカルテ(施術録)で管理している接骨院は多いですが、その他の患者さまとの会話などの記録も重要です。リピーターが多い接骨院では、患者さまのお仕事などの生活スタイルはもちろん、毎回どんな会話をしたかも記録していることが多いです。施術中や待ち時間の会話を覚えておいて次の来院時の話題に出すだけでも、患者さまは「自分のことを覚えてくれていた」と嬉しく思うので、院のファンを増やすのに有効です。
また、メールなどで患者さまが院に来ていない時間にコミュニケーションをとることも効果的です。特に、2週間以上来院されていない方や1ヶ月、1年と来院されていない方など、直接コミュニケーションをとれない患者さまにも院を思い出してもらうことができるので、「身体の調子が気になるときはいつでも相談してくださいね」など、いつでも来院しやすいようメッセージを送りましょう。
次回予約をとる
いつの間にか来院しなくなったという患者さまを減らすためにも、メンテナンスで定期的に来院する患者さまを増やすためにも、次回の来院予約をとってから帰ってもらうことが大切です。「また1か月後に来てくださいね」という案内では、毎日忙しくしているうちに忘れてしまったり、また予約の連絡をするのが面倒になったりするため、来院率がぐっと低下してしまいます。
また、院で来院予約をとると患者さまは、自身で「来院する」という意思表示をしている以上、キャンセルをしにくくなるという心理的効果もあります。1週間後など、すぐの来院の場合は予約をとる院が多いと思いますが、たとえ1ヶ月後であっても、来院予約をとるのが再新患率を上げるポイント。先の来院予約をとった場合は、電話やメールでのリマインダーを忘れないようにしましょう。
定期的なメニューの見直し
最近は保険施術だけでなく、独自の自費施術のメニューを展開している接骨院も多くなりました。自費施術は、目指す身体の状態を患者さまと先生が共有し、施術計画を立てて来院してもらうため、保険施術と比べて継続的に来院する期間が長くなります。
また、猫背や骨盤などの姿勢に関する基本メニューや、顔や脚などの美容メニューなど、幅広いメニューを揃えておくと、ひとつのメニューを最後まで受けてもらっても、次のメニューを紹介できるため、継続的な来院に繋がります。
さらに、定期的なメニューのリニューアルや新メニューの導入も、しばらく来院していない患者さまの来院の「きっかけ」になります。新メニューを導入したときは、ポスターなどの掲示物で院内に告知するほかに、メールで普段来院されていない患者さまへも告知を行うようにしましょう。
物販商品の取り扱い
接骨院の物販といえば湿布やサポーターのイメージがあり、それ以外はなかなか販売しにくいと感じるかもしれません。しかし、物販商品とりわけ食品やスキンケア商品などの消耗品を患者さまに気に入ってもらえれば「商品がなくなったから買いに行こう」という来院動機に繋がります。
院に来てもらえれば、イベントの告知や新メニューの告知もできます。また、施術は受けなくても物販商品を買うために来院してもらうことで定期的なコミュニケーションをとれるので、交通事故や身体の不調など何かあったときに、すぐに相談できる関係が保てるのです。
ただし、世間で流行していてドラッグストアでも買える商品や、インターネットですぐに買える商品では2回目以降の継続購入が見込めません。また、接骨院の患者さまは健康意識の高い方が多いです。添加物だらけの食品や、原材料が良く分からない商品をすすめては、院のイメージダウンにもなりかねません。物販商品は院にいない時間、先生の代わりに患者さまをサポートするものです。患者さまへの生活指導として提案できる質の良いものを厳選して提供しましょう。
再新患数を増やすポイント まとめ
病院などにおける「再診患」とは少しニュアンスが違う接骨院の「再新患」について理解していただけましたか?今回の5つのポイントすべてを実行するのが難しくても、まずはできるものから取り組んでみてください。今すぐの実施が難しいと感じるものは、サポートツールなどを使用して取り組むのもおすすめです。接骨院の集客といえば、つい新患に注目してしまうかもしれませんが、頼れる接骨院の指標として自院の「再新患」にも目を向けてみましょう。